2025.07.01

令和の式年遷宮が始まる

令和7年の今年、伊勢神宮で第63回神宮式年遷宮がはじまりました。

この厳粛な神事は、20年に一度、

天照大御神をお祀りする内宮(ないくう)と、

豊受大御神をお祀りする外宮(げくう)の社殿を新たに建て替え、

神様にお遷り願うという重儀です。

 

歴史的・文化的価値を評価する世界遺産とは一線を画す、

神宮の「常若(とこわか)」という精神―

すなわち式年のサイクルは、神事としての意味に加え、建築や伝統工芸技術の伝承を見据えており、

新たな社殿、新たな御装束や神宝を調製します。

神様には永遠に若々しく常に清らかな社殿にご鎮座いただきたいとの願いから、

1300年以上、絶えることなく古式のとおり御遷宮が続けられてきました。

 

■いよいよはじまる

この5月には御造営に先立つ「山口祭」が、6月には山から木を伐りだす儀式「御杣始祭(みそまはじめさい)」が行われ

ました。今回弊社では地域経済団体様から記録映像制作としての重責を拝命しました。

これより約8年の歳月をかけ、神職や小工(こだくみ)をはじめとする神宮職員、伊勢市民等からなる

神領民(しんりょうみん)によって、神宮式年遷宮最大の大祭儀、「遷御」にむけて、

神事・諸行事は厳かに進行していきます。

 

 

■おもえば…

出身が愛知県で、学生生活も終わりを迎えるころ、この先 社会に出ることを期に

色々な願い事を背負いながら友人と神宮参拝を計画したことが思い返されます。

しかしながら、一度神域にはいれば五十鈴川の瀬音、森の匂い、鳥のさえずり、刻む玉砂利の音

すべての空気に圧倒され、気が付けば背筋を伸ばし、願い事など忘れ、

ただただ頭を垂れるしかしなかった記憶があります。

その後の社会人人生で、これほどのご縁を頂くとは知る由もなく

 

■さいごに

神宮式年遷宮は人類無双の大営といわれます。

この歴史の節目となる20年に一度の神事に、ぜひ心を寄せてみてはいかがでしょうか?

特別な信仰心がなくとも、1300年の昔から令和の今に続く「祈り」

その営みにお立合いいただき、感じていただく事があれば幸いです。

 

やがてこの深遠な森で、新宮造りの華やいだ槌音も聞かれることと思います。

 

k.ono